店長クラスの美容師の年収は?サロン勤務と独立の違いや、年収アップ方法も解説

美容師の仕事に興味があるものの、将来性があるのか気になる方もいるのではないでしょうか。今回は店長クラスの年収の目安と役職別年収、美容師が年収アップする方法について解説します。


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店長クラス美容師の年収はどのくらい?


店長クラスの美容師の年収はどのくらいなのでしょうか?ほかの役職との違いについても解説します。

店長クラス美容師の平均年収

サロンの規模や経営状況などによって年収は変わるものの、店長クラスの美容師の年収は約350~450万円が相場です。月収にすると、30~40万円程度とみておきましょう。

店長クラスになると、美容師としての接客だけでなく、店舗の売上げやスタッフ管理などの仕事が増えます。そのため、そのほかの役職よりは年収が上がるのが一般的です。

ただし、サロン勤務の店長と独立した店長とでは、仕事の内容が異なります。スタッフの育成や管理、顧客管理といった業務は共通しているものの、サロン勤務の店長はあくまでも雇用されている立場であり、経営に関する直接的な決定権はありません。

一方、独立開業した店長はサロン経営のオーナーとして、経営全般の意思決定権を有します。サロンの存続に必要な収支のバランスを保ちながら、新規顧客を獲得する経営戦略を考案するなど、業務範囲は多岐にわたり、そのぶん責任も増えます。

独立店長の年収はサロン勤務の店長より多い?

独立開業した場合とサロン勤務の店長とでは、どのぐらいの年収差があるかも気になるところでしょう。

同じ店長の立場でも、独立開業をする場合はサロン経営のオーナーとしての収入もあります。サロンの規模や立地によるものの、オーナーの年収は売上げの1~2割程度です。

サロン勤務の店長の場合は、毎月の給料が決まっています。サロンの売上げが伸びても、大きく収入に反映されることはありません。

一方、独立店長ならサロンの売上げが伸びればそのぶん収入が増えます。1店舗だけでなく、経営する店舗が増えるほどオーナーの年収もアップするわけです。とはいえ、独立店長の場合は、サロン経営のために必要な経費の支出も考慮する必要があります。

店長以外の役職別平均年収

美容師には、アシスタント、ジュニアスタイリスト、スタイリスト、トップスタイリストといったランクがあり、ランクによって年収が異なります。

店長以外のランク、役職別平均年収は以下のとおりです。

アシスタント

美容師として活躍するには、まずはアシスタントとしての見習い期間を経る必要があります。これは美容専門学校を卒業し、美容師免許を取得している人でも同様です。

アシスタント期間は約2~3年程度で、接客や美容師としての技術を磨きつつ、スタイリストのサポートを行います。

アシスタントの年収は約200万円、月収にすると14~18万円程度と低めです。一般的な会社員の初任給と比べると少なめですが、ほとんどの人は美容師としてデビューするまでの勉強期間と割り切って働いています。

ジュニアスタイリスト

ジュニアスタイリストは、アシスタントとスタイリストの中間に位置するランクです。ジュニアスタイリストになると、カットを任せてもらえるようになります。

アシスタント時代よりも年収は上がり、約250万円が年収相場です。月収にすると20万円程度になります。

スタイリスト

店舗によって条件は異なるものの、経験を積んでさまざまなお客様に対応した技術を提供できるようになれば、スタイリストとして認められます。スタイリストになると、一人前の美容師として働けるので、収入の大幅アップも見込めるでしょう。

スタイリストの年収相場は、約250~300万円で、月収は20~25万円程度が目安となります。ただし、スタイリストには指名料や役職による手当が付くことが多く、美容師によって収入が異なるのが実情です。

指名客数が多い人気の美容師であれば高収入も実現できます。

トップスタイリスト

スタイリストのなかでも、実力があり人気の高い美容師がトップスタイリストになれます。トップスタイリストになると、年収が500万円以上、月収50万円以上といったことも夢ではありません。

美容師の年収は役職以外にも左右される

美容師の年収は、ランクや役職だけで変わるのではありません。美容師の年収に影響するほかの要素についてご紹介します。

地域による年収の違いがある

美容師は地域によっても年収が異なり、地方と比べると関東の都心部のほうが年収は高い傾向にあります。その理由は、都心部のほうが物価が高いからです。物価が高い分、必然的にサロンの施術メニューも上がるため客単価もアップします。

とはいえ、家賃などの生活費は都心部のほうがかかるので、一概に都心部で働いたほうがお得とはいえません。

美容師の地域ごとの平均年収は以下のとおりです。

地域 平均年収
北海道・東北 308万円
甲信越・北陸 317万円
関東 376万円
東海 336万円
関西 307万円
中国 309万円
四国 320万円
九州・沖縄 310万円

歩合や指名制による年収の変動がある

サロンの多くは歩合制指名制を取り入れています。

歩合制とは、担当した施術料の一部やシャンプー、トリートメントなどの販売によって得た売上げの一部を還元してもらえる仕組みのことです。サロンによって条件は異なり、また売上げの配当も10~30%と開きがあります。

さらに、指名制を採用しており、担当美容師として指名されると指名料の一部、もしくは全額が給料に還元されるサロンも多いです。指名されることが多い人気美容師だと、指名料だけでも大きな収入アップが見込めるでしょう。

美容師は役職、ランクによる基本給だけでなく、歩合や指名の有無によって年収が変動します。

サロン勤務なのか独立店長なのかでも異なる

同じ店長でもサロンに勤務している雇われ店長なのか、自身で独立して美容室を運営するのかによっても年収は変わってきます。

雇われ店長の場合は固定給ですが、自身の店舗で店長として働くと、年収アップも見込めます。もちろん、年収がアップするかどうかは売上げ次第であり、独立することがプラスになるとは限りません。

しかし、美容師としての技術や接客技術が優れており、経営者としての素質を備えている人であれば、独立することで年収をアップできる可能性が高いです。

サロン勤務と独立開業した場合では、店長になる年齢も異なります。一般的に、新卒採用からアシスタント、スタイリスト、チーフ、副店長と進むため、サロン勤務の美容師が店長になるのは20代後半~30代です。

一方、独立して開業する場合は、美容師としての経験とサロン経営をはじめる資金力の両方が必要です。独立前にサロン勤務の店長となって経営の勉強をするケースも多く、独立店長の年齢は30~50代と少し高めです。

店長になるだけじゃない!美容師の年収がアップする方法

店長クラスを目指したいと思っても簡単になれるものではないため、美容師の将来性について不安に思う方もいるのではないでしょうか。

実は、店長クラスを目指すことだけが美容師の年収アップの方法ではありません。店長になれないとしても、以下のような方法で年収アップは目指せます。

美容師としての腕を磨く

役職をもらうことはもちろん大事ですが、もっと重要なのは美容師としての技術や接客技術を身につけることです。評判の良い美容師になれば固定客や指名客が増え、歩合制や指名制による年収アップにつながります。

また美容師としてのスキルや接客の能力が高くなると、評価も上がり、トップスタイリストへの道も開かれるでしょう。トップスタイリストとして活躍できるようになると、年収の大幅アップも狙えます。

独立して店舗を構える

自分でお店をもち、それがうまく軌道に乗れば年収アップが目指せます。

ただし、お店をオープンさせたら必ず経営がうまくいくとは限りません。経営を軌道に乗せるには、働くスタッフの技術はもちろん、ブランディング能力や集客力といったものが求められます。

サロンに雇われているときよりも大変にはなるものの、お店の売上げが伸びれば年収に還元されることは大きなメリットです。

フリーランスの美容師になる

年収アップを目指すには、フリーランスの美容師を目指すのも良い方法です。ここでいう「フリーランス」とは、個人事業主としてサロンと業務委託契約を結んで働くスタイルの美容師をいいます。

フリーランスも独立開業ではあるものの、自分で店舗をもたない個人事業主です。店舗をもたないため、少ない資金で独立できるのが魅力でしょう。自分に実力さえあれば収入が得られます。

フリーランスの美容師は、ほかのサロンの店舗設備を借りる「面貸し」の形態で働くのが一般的で、業務委託契約はサロンごとにさまざまです。基本的に、集客や顧客管理はすべて自分で行い、そのかわりに、設備の利用料や売上げのなかから決められた割合で費用を支払います。

フリーランスの美容師は、サロン勤務のように営業時間にとらわれずに活動できるのがメリットです。一般的に美容師の仕事は拘束時間が長く、週末や祝日に休みが取れませんが、フリーランスになると「午後から勤務」「日曜休み」など自由に働けます。

時間を有効活用でき、働いた分を報酬に反映できるのが魅力です。

とはいえ、固定給ではないので正社員と比べると収入が不安定になるのがフリーランスのデメリットです。もともと指名されることが多い人気の美容師であれば別ですが、そうでない場合は固定客がついて安定するまでは年収が下がるリスクもあります。

講習会やセミナーを開く

SNSなどを使って集客し、美容師の講習会やセミナーで講習する方法もあります。副業として定期的に講習会やセミナーを開けば、参加費などを収入にできるので年収アップが可能です。

会場を借りなくても、オンライン上でセミナーを開催することも可能です。オンライン上のみでの開催であれば、会場費用を浮かせることができますし、場所にとらわれないので開催しやすいのがメリットです。

講師として講習会やセミナーを開くには、美容師に教えられるだけの技術力を十分に有していることが前提となります。

年収アップのチャンスが多いサロンに就職する

勤務するサロン次第で年収も変わってくることも覚えておきたい点です。就職するサロンの条件をしっかりと見極めましょう。

就職先を選ぶ際は、定期的な昇給や昇格制度が整っているところを選ぶようにします。歩合制や指名制の還元率が良いサロンだと、それだけ収入もアップしやすいので還元率についてもチェックしておきたいものです。

また、都心のブランド力が高いサロンであれば、基本給から高い可能性があるので、そうしたサロンを狙うこともできます。就職先を選ぶ際は、年収が高くなりやすいところを選ぶことも大事です。

まとめ

店長になるだけではなく、美容師としての高い技術力と、接客スキルを身に付ければ、歩合制や指名制による年収アップが期待できます。また、年収アップのチャンスが多いサロンへの就職、将来的に独立を計画することも高収入につながるでしょう。