専門学校と大学の違いは?自分に合った進学先を選ぶ際のポイント

高校卒業後の進路を考えたとき、専門学校と大学が主な選択肢になります。進路は将来仕事に就く際にも影響を与えるため、どちらを選べば良いのか迷っている高校生は多いのではないでしょうか。今回は、専門学校と大学の違いや、それ以外の進路、それぞれのメリット・デメリット、卒業後に目指せる職業や向いている人や進路選びのポイントを紹介します。


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Contents

専門学校・大学の違いとは?

専門学校と大学は、高校卒業後により高度な知識を学ぶ学校です。しかし、この2つは設置の目的が異なります。

専門学校は特定の仕事に就くために必要な専門知識や技術を学ばせる、より実践的な教育機関です。業務に必要な資格も取得でき、分野に応じた就業を目指せます。

一方、大学は、学問を学術的・理論的に追究する教育機関です。専門分野を深く研究するとともに、学生に幅広い教養を学ばせ、社会で活躍できる人材を育成することを目的としています。

具体的な 専門学校と大学の違いは、次の表の通りです。学ぶ内容だけでなく学費や入試方法、卒業後のキャリアビジョンにも差が生まれます。

専門学校 大学
卒業までの年数 主に2年制 (分野により3年制や4年制がある) 4年間(医学部・歯学部は6年間)
教育内容 主に専門分野 一般教養・専攻分野
必要単位・授業時間 年間800時間以上(1コマ45分~) 124単位以上(1コマ90分~)
履修科目・時間割り 履修科目が決まっている 選択科目から自分で選択する
入学試験 書類選考・筆記試験・面接など 筆記試験・面接など
入学試験の難易度 大学に比べて難易度は易しい 一定の学力・評価が必要
学費の目安 約250万円~(2年制) 国立:約250万円~

私立:約500万円 (医・歯学部系除く)

得られる学位・称号 専門士 学士

専門学校のメリット・デメリット

ここからは、進学先に専門学校を選ぶメリットとデメリットを解説します。

進学先に専門学校を選ぶメリット

専門学校のメリットは、下記の通りです。

業務に必要な実務的な能力が身に付く

専門学校では、各業種に特化した授業を通じて、現場で活かせるスキルが身に付けられます。現役のプロの講師が務め、実践的な実習設備を備えた学校が多いほか、必要な資格も取得可能です。

美容・調理・語学・音楽・ホスピタリティなど、さまざまな分野の学校の専門学校があり、興味のある職種を専門的に学べます。

同じ業種を目指す仲間と切磋琢磨して成長できる

専門学校にはその業界で働きたい意思を持つ学生が集まってくるため、切磋琢磨しながら成長でき、知識や技術の習得がスムーズに進められます。将来のための人脈作りができる点も、大きなメリットです。

また、仲間同士の交流を通してノウハウの共有ができ、就活や資格取得に活かせます。

最短2年で就職できる

専門学校では効率良くカリキュラムが組まれているため、最短で卒業できます。仕事に必要な知識やスキルを習得して社会に出られるメリットもあり、大卒者より早期にキャリア形成に取り組めるでしょう。早めに社会に出れば、生涯で稼げる収入も増やせます。

集まる求人票が多い

専門学校は特定分野のプロフェッショナルを育てる教育機関であるため、学校には多くの求人票が集まります。専門的なスキルを持つ学生を求める企業は多く、就活で優位に立てるでしょう。

大手企業と提携している専門学校もあり、企業研究も十分できるため、就業後のミスマッチを防げます。

学校による就職のサポートが手厚い

職業に直結する専門学校では、就職サポートが充実しています。実際に、専門学校の就職率は高めです。学生一人ひとりにあわせてきめ細やかにサポートする学校が多く、就活をスムーズに進められます。

進学先に専門学校を選ぶデメリット

一方で、専門学校には下記のデメリットがあります。

専門以外を学ぶ機会が少なく進路変更が難しい

専門学校の教育は特定の職種に特化しているため、途中で進路変更するのが難しい側面があります。在学中に興味を失うと学ぶモチベーションが下がりやすいため、目標をしっかり定めて進学することが大切です。

また、大学のように一般教養を学ぶ機会が少なく、必要な見識を養うには自己研鑽が求められます。

専門学校卒では就業できない仕事がある

企業の中には大卒を採用条件としているところもあるため、専門学校卒だと応募できないことがあります。志望する企業がある場合は、専門学校卒での応募が可能か事前に確認しましょう。

なお、教職員・医師・薬剤師などの職種は、大学卒が必須となっている点には注意が必要です。

大学のメリット・デメリット

進学先に大学を選ぶメリットとデメリットをみていきましょう。

進学先に大学を選ぶメリット

大学に進学するメリットは、下記の通りです。

卒業後に幅広い進路の選択肢がある

大学は入学難易度が高い分、卒業すると進路選択の幅が広がります。多くの企業は採用時に学歴を重視している傾向にあり、大学卒ならほとんどの企業に応募可能です。また、大学院へ進学して博士号を取得し、研究職に就く選択肢もあります。

高めの生涯賃金が期待できる

一般的に、大学卒のほうが専門学校卒より生涯賃金が高くなる傾向があります。厚生労働省が実施している令和5年賃金構造基本統計調査の結果からわかる学歴による賃金の違いは、下記の通りです。

高専・短大卒 大学卒
男性 約354万円 約399万円
女性 約273万円 約299万円

専門学校卒に絞った調査は行われていないものの、同じ大学でも4年制の大学卒のほうが短大卒より賃金が高く、収入面で有利に働きます。

出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (3) 学歴別にみた賃金

専門分野以外の教養も学べる

大学は専門学校に比べてカリキュラムが豊富で、専攻科目に加えて心理学・統計学・語学・体育などの一般教養を学ぶ機会があります。クラブやサークル活動も活発に行われており、さまざまな体験を通じて広い視野を養える点が特徴的です。

また、大学には夏休みや春休みなどの長期期間があり、海外への留学がしやすいため、より幅広い知見を広げられます。

進学先に大学を選ぶデメリット

一方で、大学進学には、下記のデメリットがあげられます。

経済的な負担が大きい傾向がある

一般的に、大学は専門学校よりも学費がかかる傾向にあります。特に、私立大学の学費は国立大学の約2倍と高額です。学費は授業料だけでなく、入学金・施設設備費・教科書代なども含めた総額で検討する必要があります。

入学難易度が高く、留年のリスクがある

大学は入るのが難しいだけでなく、卒業するのも簡単ではありません。自分で計画して単位を取得していく必要があり、自己管理できないと留年するリスクがあります。特に、希望の大学に入れないとモチベーションを維持しにくく、卒業が難しくなりがちです。

専門学校と大学、それぞれに向いている人

それでは、専門学校と大学はそれぞれどんな高校生に向いているのでしょうか。ここからは、高校生が自分に合う進学先を選ぶポイントを紹介します。

専門学校への進学が向いている人の特徴

仕事に必要な知識やスキルを効率良く習得したいのであれば、専門学校がおすすめです。

将来なりたい職業が定まっている人

即戦力を意識した教育内容の専門学校は、将来の目標が明確な人に向いている進学先です。美容師やエステティシャン、美容部員などの美容系の業界を目指すなら、美容専門学校を選びましょう。就職先も見据えてリサーチすると、夢に一歩近づけます。

専門的なスキルを身に付けたい人

専門学校では必要な資格をカリキュラムのなかで取得できるため、専門的なスキルをスピーディーに習得したい人にもおすすめです。資格を取得するにあたり、学習しやすい環境が整っています。

早くスキルを身に付けて社会に出たい人

専門学校は大学に進学するより卒業までが短く、早く社会に出て働きたい人にも向いています。専門学校卒は即戦力としての企業からの需要が高く、就職でも有利に働きます。

大学への進学が向いている人の特徴

大学への進学が向いているのは、下記の特徴にあてはまる高校生です。

専門分野を深く追求・研究したい人

大学では4年間かけて学術的・理論的な専門分野を学べるため、専門領域を深く追求したい人には最適な選択肢です。特に、研究職を目指す場合は、大学進学が必要となります。

幅広い知識を学んで広い視野を持ちたい人

大学では一般教養も学べるため、広い視野を持って社会に貢献したい人に向いています。幅広い教養を身に付け、自分を高めたい方にもおすすめです。

学生生活をゆっくり楽しみたい人

大学は学生でいられる期間が長いため、のびのびとキャンパスライフを送りたい人に向いています。サークル活動やアルバイト、短期留学も経験したい高校生は、ぜひ挑戦してください。

 

専門学校と大学、卒業後に目指せる職業

将来なりたい職業や興味のある分野が明確であれば、その職業に必要な資格やスキルから進路を考えるのもひとつの方法です。専門学校と大学では取得できる資格や目指せる職業が異なるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。

専門学校卒業後に目指せる職業

専門学校では、実務に直結するスキルを習得できるだけでなく、国家資格や業界認定資格の取得を目指せる分野も多くあります。下記に、専門学校卒業後に目指せる職業をまとめました。

資格名 活かせる職業例
看護師 病院・クリニックの看護師、訪問看護師
歯科衛生士 歯科医院の歯科衛生士、予防歯科指導員
理学療法士 リハビリテーション施設の理学療法士、スポーツトレーナー
作業療法士 医療機関の作業療法士、福祉施設のリハビリスタッフ
臨床検査技師 病院の検査技師、研究機関の技術スタッフ
診療放射線技師 医療機関の放射線技師、画像診断センターの技術者
調理師 レストランの調理師、ホテルのシェフ
製菓衛生師 パティシエ、製菓工場の製造スタッフ
栄養士 学校給食の栄養士、病院の栄養管理士
保育士 保育園の保育士、児童福祉施設の職員
介護福祉士 介護施設の介護職員、訪問介護員
精神保健福祉士 精神科病院のソーシャルワーカー、福祉施設の職員
税理士 税理士事務所の税理士、企業の経理担当者
公認会計士 会計事務所の公認会計士、企業の財務担当者
行政書士 行政書士事務所の行政書士、企業の法務担当者
司法書士 司法書士事務所の司法書士、不動産登記の専門家
建築士 建築設計事務所の建築士、住宅メーカーの設計担当者
管理栄養士 病院の管理栄養士、学校給食の栄養管理者
自動車整備士 カーディーラーの整備スタッフ、自動車修理工場の技術者、モータースポーツ関連のメカニックなど
危険物取扱者 ガソリンスタンド勤務、化学工場の安全管理者、倉庫の危険物管理担当者など
食品衛生監視員資格 行政機関の食品衛生監視員、食品製造工場の品質管理担当など
造園技能士 造園会社の設計士、ガーデンデザイナー、公園・緑地の管理スタッフなど
旅行業務取扱管理者 旅行会社のカウンタースタッフ、ツアープランナー、観光業界の企画営業など
ファッション販売能力検定 アパレルショップの販売員、接客リーダー、店舗マネージャーなど
ファッションビジネス能力検定 バイヤー、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)、ファッション企業の企画職など
貴金属装身具製作技能士 ジュエリーデザイナー、アクセサリー職人、宝飾品ブランドの製作スタッフなど
全国通訳案内士 外国人観光客向けガイド、観光通訳スタッフ、通訳案内会社の社員など
公務員 市役所・区役所職員など
NSCA認定パーソナルトレーナー フィットネスクラブのトレーナー、スポーツ選手のコンディショニング指導者、健康増進施設の指導員など

大学卒業後に目指せる職業

大学を卒業すると、特定の国家資格の受験資格を得られたり、専門職への道が開かれたりします。下記に、大学卒業後に取得可能な資格と、それを活かせる職業の一例をまとめました。

資格名 活かせる職業の例
司法試験合格 弁護士、裁判官、検察官
教員免許状 小学校・中学校・高等学校の教員
学芸員資格 博物館・美術館の学芸員
国家公務員総合職試験合格 各省庁の政策立案担当者、行政官
医師国家試験合格 医師、病院勤務医、開業医
歯科医師国家試験合格 歯科医師、歯科医院勤務医、開業歯科医
薬剤師国家試験合格 薬剤師、病院薬剤部勤務、調剤薬局勤務
獣医師国家試験 動物病院の獣医師、家畜衛生・畜産分野の公務員、動物検疫所職員
臨床心理士 医療機関や学校のカウンセラー、心理支援専門職
裁判所職員採用総合職試験 裁判所書記官、家庭裁判所調査官、司法行政事務官など
自衛隊幹部候補生 陸・海・空自衛隊の幹部自衛官

専門学校・大学以外に考えられる進路

専門学校や大学だけが進学の選択肢ではありません。実践的な学びを重視する「専門職大学」や、短期間で専門知識を習得できる「短期大学」、国家機関が運営する「大学校」など、多様な進路が存在します。それぞれの特徴を把握して、進路選択の幅を広げましょう。

専門職大学

専門職大学は、実践的な職業教育を目的とした新しいタイプの大学です。卒業には、長期にわたる企業内実習などを含む実習科目を40単位以上(2年制は20単位以上)修得する必要があります。

産業界との強い連携のもと、実社会で通用する知識やスキルの習得を重視しており、卒業後すぐに即戦力として働ける力を養えるのが特長です。

短期大学

短期大学は、2年間という限られた時間の中で、教養科目とあわせて専門性の高い実践的な学びを効率よく身につけられる進路です。

授業や実習が密に組まれているため、一般的な大学生活よりもスケジュールはタイトになりますが、その分即戦力としての力が養われ、就職率の高さにもつながっています。

大学校

大学校は、各省庁が所管する幹部候補生や高度な専門技術職員の育成を目的とした教育機関です。例えば「防衛大学校」「海上保安大学校」「気象大学校」などがあります。実践的な教育を中心としたカリキュラムで構成されているのが特徴です。

ただし、「大学校」という名称は法律で定義されていないため、教育内容や資格取得の可否などは学校によって異なるので注意しましょう。

まとめ

専門学校と大学には卒業までの年数だけでなく、カリキュラムや学費などのさまざまな違いがあります。将来の職業や取得できる資格、短大や専門職大学など他の進路も視野に入れ、自分に合った道を選ぶことが大切です。

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