美容師免許がないとできないこととは?免許の取得方法も解説

美容師として活躍するには、国家資格である美容師免許の取得が前提となります。進路を考える際は、免許の有無によってどのような業務ができるのかをしっかりと把握しておくことが大切です。今回は、美容師免許がないとできないことや、免許がなくても携われる仕事内容、美容師免許の取得方法について紹介します。


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美容師免許がないとできないこと

美容師免許は、美容に関わる専門業務を行うために必要な国家資格です。ここでは、免許がなければ従事できない具体的な業務内容を紹介します。

カットやカラーなど施術全般

美容師免許がないとできない業務の代表例として、カットやカラー、パーマ、ヘアセット、ヘアスタイリングなど、髪への直接的な施術があげられます。いずれも、お客様の髪に手を加える行為であるため、無資格で行うことは法律上認められていません。

補助的な立場のアシスタントであっても、髪に触れる施術に関しては免許取得が必須となります。

シャンプーやドライヤーなど洗髪関連

意外に思われるかもしれませんが、シャンプーも免許なしではできず、頭皮や髪を水で濡らすことは衛生管理や感染予防の観点から厳しく制限されています。

アシスタントがシャンプーを担当する場合でも、美容師免許が必要です。また、ドライヤーやウェットヘッドスパのような水を使った施術も同様で、無資格者の場合は行うことができません。

2020年3月に一部企業が、無資格者によるシャンプー施術の解禁を求めて厚生労働省に提案しましたが、「公衆衛生上適切ではない」として正式に却下されました。そのため、洗髪を含むすべての頭髪ケア業務において、美容師免許は必須です。

出典:内閣府「提案内容に関する所管省庁の回答

メイクアップ

メイクアップも美容行為に分類されるため、免許を所持していなければ施術が認められていません。美容室だけでなく、舞台や撮影現場などの特別な環境でも、メイクアップを施す際には美容師免許が必要です。

さらに、このような業務を行うには、美容所として登録してあることも求められます。ただし、美容部員のように、化粧品の販売を主な目的として使用感を試してもらう行為は、美容行為には該当しないため、免許がなくても問題ありません。

まつエク・まつ毛パーマ

まつ毛エクステンションやパーマも、美容師免許なしには行えない施術に該当します。目元のようなデリケートな部位に対する施術であることから、安全性の観点でも知識と技術が求められるからです。

2017年、経済産業省および厚生労働省は、まつ毛エクステンションを美容師法で定義される「美容」に該当するとの見解を発表しました。美容師法第2条において、「容姿を美しくすること」を美容と定め、「通常首から上の容姿を美しくすること」としています。

そのため、目元の施術も美容師法の対象とされ、原則として美容師免許を所持していなければ施術は許可されていません。

出典:経済産業省「まつ毛エクステンション施術に係る美容師法の取扱いが明確になりました

アイブロウ

アイブロウに関連する施術である眉毛カットや眉毛エクステ、眉毛パーマなども、美容師免許が必須です。ただし、眉毛の形を整える程度のワックス脱毛であれば、特別な資格がなくても対応できます。

薬剤を用いて眉毛を染める眉カラーは、美容師免許がない方はもちろん、取得していても施術は行えません。薬機法により、医薬品などを適正に使用する必要があると定義されているため、通常、髪に使用する薬剤を眉毛やその他の部位には使用できません。

特に、皮膚の薄い目元への使用はかぶれやただれなどのリスクが高いため、代替として眉用のマスカラなどを推奨しています。

フェイシャルエステ

首から上のフェイシャルケアを行う場合や、施術中に化粧品・医薬部外品を使用する場合は、美容師免許が必要となります。

一方で、顔からデコルテにかけての広い範囲をケアする場合は全身美容として扱われ、美容師法の対象外とされることもあります。軽度なマッサージやクレンジングなど、簡単なケアであれば、美容師免許がなくても実施可能です。

美容師免許がなくてもできること

美容師免許がなくても、美容に関する仕事を担当できるものもあります。ここでは、美容師免許の有無にかかわらずサービスを提供できる業務内容を紹介します。

接客

美容師免許がなくても、受付や会計、電話対応、お客様の案内、店頭商品の販売などの接客業務を担当できます。これらは店舗の顔として重要な役割を果たしており、丁寧な対応が求められます。

特に受付や会計業務はミスが許されず、正確かつ迅速に処理する必要があります。お店の売上にも直接関わるため、お客様を待たせずにスムーズに対応することが大切です。

バックヤード業務

サロンの円滑な運営に欠かせないのが、バックヤード業務です。店販商品の在庫管理や発注、施術で使う道具の準備や洗浄、タオルの洗濯や補充、さらには店内の清掃など多岐にわたります。

裏方の作業が滞ると店内業務に支障が出たり、施術に遅れが生じたりすることもあるため、バックヤード業務は重要な役割を担っているのです。

また、施術に使う道具の準備は、スタイリストがスムーズに施術を行えるようサポートする目的があり、開店前や閉店後に行われるのが一般的です。清掃や洗浄などの作業も、サロンの衛生面を維持する上で欠かせません。

ドライヘッドスパ

髪を濡らさずに行うドライヘッドスパは、美容師免許がなくても施術可能なサービスのひとつです。ヘッドスパ自体には国家資格が必要とされていませんが、専門的な知識や技術を証明するための民間資格があります。

ただし、髪を濡らして施術するウェットタイプのヘッドスパは、美容師免許が必要となるため、実施には十分な注意が必要です。

ネイル・エステなど美容系の仕事

ネイルサロンやエステティックサロンでネイリストとして働く場合、美容師免許は必須ではありません。ただし、美容所として保健所に届け出ているサロンでネイル施術を行う場合は、免許の取得が必要です。

また、フェイシャルエステに関しては首から上の施術では免許が求められますが、顔からデコルテまでを含む広範囲のエステは全身美容とみなされます。そのため、美容師法の規制対象外となります。簡単なマッサージや肌の汚れを落とす程度のケアは、免許なしでも可能です。

美容師免許を取得する方法

美容師免許を取得するには、美容師養成施設で所定の期間学習し、国家試験に合格する必要があります。ここでは、美容師免許を取得する方法を解説します。

ステップ1|美容師養成施設に入学する

美容師国家試験は希望すれば誰でも受けられるわけではなく、指定された美容師養成施設で所定のカリキュラムを修了しなければなりません。

平成10年4月1日以降に入学した場合、昼間課程か夜間課程で最低2年間、通信課程では3年以上の履修が求められます。

平成10年3月31日以前の入学者は、昼間課程で1年以上、夜間課程で1年4か月以上、通信課程で2年以上の履修が必要です。

美容師養成施設は昼間課程、夜間課程、通信課程があり、学校ごとに設けられているコース内容が異なります。

昼間と夜間課程は最短2年で卒業できますが、通信課程は3年以上かかるため、できるだけ早く免許取得を目指すなら昼間や夜間課程を選ぶと良いでしょう。

一般的には高校卒業後に昼間課程へ進学するケースが多いですが、仕事と両立したい方には夜間課程という選択肢もあります。

ステップ2|美容師国家試験を受験する

美容師養成施設で必要な学習を終えたら、美容師国家試験を受験します。この試験は実技と筆記の2部構成で、技術力と知識の両方が評価されます。

実技試験ではカッティング技術やワインディング技術などが課され、筆記試験では関係法規や運営管理、公衆衛生、人体の構造や機能、香粧品化学、文化論、美容技術理論など幅広い分野から出題されます。

ステップ3|免許申請をする

国家試験に合格しても、すぐに美容師として働けるわけではありません。合格後に美容師免許の登録申請を行い、名前や本籍などが美容師名簿に登録されて初めて免許が交付されます。この手続きを経て正式に美容師資格を得ることができます。

まとめ

美容師免許の有無によって、対応できる業務が異なります。美容師免許を所持していれば、髪の施術からメイクアップ、まつ毛のケア、アイブロウ、フェイシャルエステまで、幅広いサービスを提供できます。

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