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美容師の平均年収はどのくらい?
美容師の年収は、働く地域や年齢、雇用形態によっても異なります。まずは、平均年収をさまざまな角度から見ていきましょう。
平均年収は約370万円
厚生労働省が発表している「令和6年(2024年)賃金構造基本統計調査」によると、企業規模10人以上の理容師・美容師の給与は以下の通りでした。
・きまって支給する給与額:30万600円
・年間賞与その他特別給与額:10万9,800円
この金額から年収額を計算すると、平均年収は371万7,000円です。これは、(30万600円×12か月分)+10万9,800円という式で算出しました。また、あくまで正社員で雇用されている場合です。
さまざまな職種を含めた正社員の賃金は、賞与を除いて約34万8,600円です。この結果を見る限り、他の職種や業種と比較すると給料はやや低いほうであるといえるでしょう。
出典:厚生労働省「令和6年(2024年)賃金構造基本統計調査|職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
年代・性別による違い
美容師の給料は、年齢や性別によっても異なる場合が多いです。すべての美容師に当てはまるとはいえませんが、多くの美容師で男性が413万5,200円(月収34万4,600円×12か月分)なのに対し、女性が330万4,800円(月収27万5,400円×12か月分)と少ない傾向にあります。これは、いずれも賞与を除いた金額です。
ただし、年齢や性別による年収額は、一般的な例として挙げたものであり、インセンティブ制度を導入している店舗なら年齢が若い女性であっても、男性より年収が高いこともあります。
【役職別】美容師のお給料事情
多くの美容師は、美容師免許を取得して就職した後、見習いのアシスタントからスタートし、技術を学びながらキャリアアップします。
ここからは、各役職の業務範囲や給料の相場について見ていきましょう。
アシスタント
美容専門学校を卒業し、美容師免許を取得したばかりの駆け出し美容師は、アシスタントからスタートするのが一般的です。美容室に就職して1年半~3年程度は、アシスタントとして働きます。
業務としては、受付をはじめとする雑用やシャンプー、スタイリストのサポートなどがメインです。業務時間が終了した後に、カットやカラー、パーマなどの技術を練習していくことになります。
月収は、店舗の規模によっても異なりますが、固定で14~18万円程度です。年収にすると200~300万円前後になるでしょう。
ジュニアスタイリスト
アシスタントを卒業したら、ワンランク上のジュニアスタイリストに昇格します。ジュニアスタイリストになれば、カットやカラー、パーマなど、美容師の基本的な業務を任せてもらえますが、1人では対応できない業務も一部あり、他のスタイリストからのサポートが必要な状態です。
月収は固定で14~18万円程度が相場で、年収にすると約200~300万円前後となります。役職を細かく分けていない店舗では、ジュニアスタイリストの役職を設定しておらず、スタイリストとひとまとめになっているところも多いです。
スタイリスト
美容室ですべての業務に対応できる高い技術をもった美容師になれば、スタイリストに昇格できます。
月収は、固定給+歩合給で算出されることが多く、実力によって給料が決まることがほとんどです。
固定給は20万~30万円が相場で、歩合給は指名や売上によって変動します。そのため、年収額がジュニアスタイリストと変わらない方もいれば、500万円以上の方もいるのです。
実力で高年収にもなれるスタイリストですが、中でも技術力がずば抜けて高く、人気のあるスタイリストは「トップスタイリスト」と呼ばれます。
トップスタイリストになれば、月収50万円以上、年収額800万円以上も目指せる夢のある職業です。
店長
チェーン店の店長クラスなら、美容室の規模や売上に応じて給料が決定します。そのため、月収30万~120万円と給料にも差が生じるのです。
店長は、美容師としての技術や接客能力はもちろん、人事に関しての知識やマネジメントスキルなど、経営者としての能力も問われます。
店舗の経営が上手くいけば、必然的に給料もアップするため、年収1,000万円以上も目指せる環境です。
経営力に自信がある方の場合は、チェーン店の店長ではなく、独立開業してオーナーになれば、年収2,000万円を超える方もいます。
美容師としての技術やキャリアだけでなく経営にも興味がある方は、キャリアアップの選択肢として店長やオーナーという道があることも覚えておくと良いでしょう。
美容師として収入アップを目指すには?
美容師の平均年収は、他業種に比べて低い傾向にあります。しかし、数多くのやりがいや魅力のある美容師を、収入が低いという理由だけで諦めるのはもったいないです。
美容師として収入をアップさせる方法は、いくつかあります。ここでは、美容師としてのキャリアアップの方法を、大きく3つに分けて紹介します。美容師の収入に不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
トップスタイリストや店長になる
通常のスタイリストが、他業種に比べて年収が低いのは事実です。しかし、トップスタイリストともなれば、他業種よりも高年収を目指せます。
例えば、雑誌やテレビでカリスマ美容師として取り上げられるスタイリストは、トップスタイリストです。新しいカラーの手法を編み出したり、スタイリング技術やカット技術が優れたりしていれば、多くの方から注目を集められます。
トップスタイリストになるためには、積極的にスキルを磨きつつ、自分から技術やノウハウを発信することも大切です。多くの方から注目され、指名される美容師になれば年収1,000万円以上も夢ではありません。
また、経営力やマネジメントスキルに自信がある方であれば、チェーン店の店長になり売上を上げることで、高い年収を稼げるようになります。
条件の良いサロン・美容室で働く
同じ業務内容や役職でも、働く美容室によって給料は異なります。働き先を選ぶ段階から、条件の良いサロンや美容室に応募しておくのもひとつの手段です。
カットやカラー、パーマの料金はもちろん、指名料なども他店より高い場合は、給料も高い可能性があります。
高い料金を設定している美容室では、基本給が他店と変わらなくても歩合給を高く設定していることが多いのです。
さらに、地域によっても給料に差があることから、給与水準の高い首都圏の店舗を狙うのも良いでしょう。
独立して自分のお店をもつ
美容師は、独立開業も目指せる資格です。もちろん、独立するまでに美容室やサロンで下積みをし、美容師としての経験やスキルを十分に蓄積しなければなりません。
下積みをしながら、接客能力や美容師の技術に自信がついてきたら、管理美容師など開業に必要な資格も取得します。
独立開業して自分のお店をもてば、サロンに勤務するトップスタイリストや店長よりも高収入を得ることが可能です。
もちろん、独立開業するには、ある程度の初期費用も必要になりますが、スタッフを雇用して規模を大きくしていけば、年収1,000万円以上も目指せます。
資格を取得する
仕事の幅を広げたり、技術の底上げをするためにも、美容師以外の資格を取るのも良いでしょう。ここでは、おすすめの資格を4つ紹介します。
管理美容師
管理美容師は、サロンの衛生管理のスペシャリストです。特殊な薬剤を日常的に使用するため、感染症などを予防しつつ、安全に業務を進めるために重要な資格といえます。
管理美容師は、2名以上が勤務するサロンを経営するなら、必ず1人は取得している必要がある資格です。将来開業を目指している方は取得しておくと良いでしょう。
管理美容師については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「管理美容師とは?資格取得のメリットやなる方法を徹底解説」
ヘアケアマイスター
ヘアケアマイスターは、毛髪や皮膚科学に関する高度な専門知識をもち、お客様に対して毛髪診断ができる資格です。
日本ヘアケアマイスター協会が認定している資格で、適切なヘアケアのアドバイスを提供できることが証明できます。3つのコースに分かれており、下位クラスに合格すると上位クラスに挑戦できる仕組みです。
ヘアカラリスト検定
ヘアカラリスト検定は、NPO法人日本ヘアカラー協会が美容師のヘアカラー技術向上を掲げて創設した検定試験です。
ヘアカラーに関する技術や知識の基準が明確に示されているのが特徴で、自分の力量を知った上で、的確に学んでスキルアップできます。
基礎的な技術があることを証明するものから、トレンドをつかんだ最先端のカラーリングができることを証明するものまで、幅広いクラスが用意されています。
着付け技能検定
着付け技能検定は、着物の知識と着付け技術を習得していることを証明できる資格です。成人式など着物を着るイベント周辺で大活躍する資格で、サロン経営においても着付けメニューが追加できて顧客獲得に役立ちます。
SNSやブログで情報発信する
多くの方が日常的に使っているSNSを活用するのもひとつの手段です。
写真やショート動画をアップして視覚的に訴えられるInstagramや、読み物として発信できるブログで施術前後の写真や美容情報をアピールしてみましょう。美容に関心がある方の目に留まり、集客につながることもあります。
まとめ
美容師は、一般的な職種に比べて年収が低いといわれていますが、キャリアアップ次第では、他業種よりも収入を上げることが可能です。
美容師免許は、独立開業もできる国家資格でもありますし、美容師としての技術や接客能力を磨けば、トップスタイリストへの道も開けます。
多くのキャリアアップの選択肢がある美容師は、夢のある職業であることに間違いはありません。平均年収だけに注目するのではなく、キャリアアップを見据えて挑戦してみましょう。