美容室の歩合制の相場は?
美容室における歩合給の相場は、雇用形態や働き方によって大きく異なります。一般的な目安として、正社員の場合は売上や指名料の30%前後が歩合給として支払われるケースが多いです。
固定給と歩合給を併用する美容室では、歩合部分の割合は15~30%程度が一般的です。一方、独立後に面貸しや業務委託で働くフリーランス美容師の場合、歩合は40~80%程度が相場とされ、収入に大きな差が出やすくなります。
また、美容室によっては、指名料を100%還元する場合もあれば、指名客に対しては50%、フリー客には30%といったように、還元率に差を設けていることもあります。歩合給の詳細は店舗ごとに異なるため、求人情報や面接時にしっかり確認することが大切です。
なお、アシスタントのようにカット業務を担当しない美容師は指名客の獲得が難しい傾向にありますが、物販実績も歩合給に反映されるため、工夫次第で収入アップを目指すことが可能です。
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固定給と歩合制のメリット・デメリット
歩合給は、美容室などの一部業界で多く採用されている賃金制度です。一方で、一般的な会社員の多くは「固定給」と呼ばれる給与形態で働いています。
固定給とは、労働日数や労働時間に応じて、あらかじめ決まった金額が支払われる給与制度のことです。
ここからは、固定給と歩合制それぞれのメリット・デメリットについて比較していきましょう。
固定給の美容室で働くメリットとデメリット
固定給の場合、指名数や売上に関わらず、毎月一定の給与が支払われます。ただし、完全固定給を採用している美容室は少ないのが実情です。
メリット
固定給の最大のメリットは、収入が安定している点です。例えば、来店客が少なくなる閑散期や、年末年始・ゴールデンウィークなどで出勤日数が減る月でも、決まった額の給与を受け取ることができ、生活への不安を軽減できます。
また、アシスタントや、指名客をまだ十分に獲得できていない美容師にとっては、収入が安定しやすく安心感のある制度と言えるでしょう。
デメリット
固定給の場合は、どれだけ指名や売上を伸ばしても給与に反映されないため、不満を感じる場合もあります。例えば、努力して成果を上げた美容師と、あまり売上に貢献していない美容師の給与が同額になることもあり、不公平感につながることがあります。
そのため、実力や成果を収入に反映させたい美容師にとっては、モチベーションが下がる要因となるかもしれません。
歩合給の美容室で働くメリットとデメリット
歩合給には、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
歩合給の最大の魅力は、成果に応じて収入が増える点です。自分の売上がそのまま給与に反映されるため、結果が見えることでモチベーションが上がり、やりがいを感じやすくなります。
特に、指名客を多く抱える実力のある美容師や、積極的に売上アップを目指す美容師にとっては、大きなメリットとなる賃金制度です。
デメリット
歩合給は指名数や来店客数に大きく左右されるため、収入が安定しにくいという側面もあります。例えば、閑散期や悪天候などの影響で客足が落ちると、売上が減り、給与もそれに応じて下がってしまいます。
そのため、収入の波に不安を感じやすい方や、継続的に成果を出し続けるプレッシャーがストレスになる方にとっては、歩合制が負担となることもあるでしょう。
一部歩合制と完全歩合制の違いとその仕組み
美容室が取り入れている歩合制には、次の2種類があります。
・一部歩合制
・完全歩合制
それぞれの仕組みや違いを見ていきましょう。
一部歩合制
一部歩合制は、固定給に加えて歩合給が支払われる給与形態です。毎月一定の給与が最低限保証されており、その上で売上や指名数などの実績に応じて収入が増えるのが特徴です。
安定した収入を確保しつつ、成果に応じて収入アップを狙えるため、現在では多くの美容室で採用されている一般的な制度となっています。
完全歩合制
完全歩合制とは、売上に対する給与の全額が成果に応じて支払われる賃金制度で、指名料などがそのまま給与に反映されます。主に、業務委託契約や面貸しといった形で働くフリーランスの美容師に適用されます。
還元率は美容室によって異なり、スタッフ全員に同じ割合を適用する場合もあれば、技術や実績に応じてランク分けし、それぞれ異なる還元率を設定している店舗もあります。
完全歩合制は、収入が不安定というイメージを持たれがちですが、実力や努力次第で高収入を目指せる点が大きなメリットです。スキルを磨いて成果を出すことで、より高い還元率を得られる可能性もあります。
美容師が歩合制で収入アップする方法
歩合給は不安定ですが、うまく活用すれば収入アップが期待できます。ここからは、美容師が歩合給で給与アップを目指すポイントを解説します。
ポイント1.積極的にトレンドや新しい技術を取り入れる
多くのお客様は、常に最新のヘアスタイルや技術に関心を持っています。そのため、指名客を増やすには、美容師自身がトレンドに敏感であることが重要です。
ヘアスタイルやカラーなど、美容の流行は変化が早いため、積極的に新しい施術やスタイルを取り入れることで、お客様の満足度を高められます。
また、最新のトレンドを把握していれば、カウンセリングや施術中の会話でも役立ちます。技術だけでなく情報や話題の引き出しを増やすことも、指名につながるポイントのひとつです。
ポイント2.技術力を磨く
お客様からの信頼を得て指名を維持するためには、常に技術力を磨き続けることが欠かせません。高い技術と丁寧な施術によって、お客様の希望に沿った仕上がりを提供できれば、リピートにつながります。
技術力には、仕上がりの美しさだけでなく施術のスピードも含まれます。施術がスムーズであれば、より多くのお客様に対応でき、結果として売上や収入の向上にもつながります。
ただし、スピードを優先して質を落としてしまうのは逆効果です。大切なのは、効率的でありながらも丁寧で誠実な対応を心がけることです。
そのバランスを意識することで、お客様の満足度を高め、長く指名を得られる美容師を目指せます。
ポイント3.接客に重点を置く
指名客を増やすためには、技術だけでなく接客の質も重要です。接客態度が丁寧であれば信頼を得やすくなり、お客様はヘアスタイルの悩みを安心して相談できます。そのため、コミュニケーション力を磨き、良好な関係を築くことを心がけましょう。
特に、以下のポイントを意識すると効果的です。
・傾聴力:お客様の話をしっかり聞き取る力
・共感力:気持ちに寄り添い理解を示す姿勢
・言語化力:ふわっとしたイメージを具体的な言葉に置き換える力
これらを身に付けることでカウンセリングがスムーズに進み、希望通りの仕上がりを提供しやすくなります。さらに、身だしなみに気を配ることで第一印象も良くなり、信頼感が高まります。
ポイント4.情報発信で指名客を増やす
指名客を増やすには、店内だけでなくオンラインでの発信も大切です。SNSやブログを活用し、自分の技術やセンスを知ってもらうことで、新規顧客の獲得につながります。
例えば、次のような工夫が効果的です。
・ビフォーアフターの写真を投稿する:施術の実力を視覚的に伝えられる
・最新トレンドやヘアケア情報を発信する:フォロワーにとって役立つ情報源になる
・マーケティング知識を学ぶ:物販の実績向上や集客にもつながる
継続的な情報発信はファンづくりにつながり、長期的に安定した指名客の獲得を後押しします。
ポイント5.商品の販売にも力を入れる
施術スキルを高めるだけでなく、物販にも力を入れることで歩合給を増やし、収入アップにつなげることができます。販売スキルを学び、お客様に美容室で取り扱うヘアケア剤やスキンケアアイテムを提案してみましょう。
お客様の悩みに合った商品を的確に紹介できれば、購入につながりやすくなります。そのためには、シャンプーやトリートメント、スタイリング剤などの商品知識を身に付けておくことが大切です。
美容室で扱うアイテムをしっかり理解し、自信を持って提案できるよう準備しておくことが、収入アップの近道となります。
ポイント6.還元率の高い美容室を選ぶ
歩合給で収入アップを目指すなら、働く美容室選びも重要なポイントです。還元率が高い美容室であれば、努力次第で大きな収入増を期待できます。
さらに、立地条件も見逃せません。駅チカや商業施設内の美容室は集客力が高く、フリー客を呼び込みやすいため、指名客を増やすチャンスにもつながります。
就職活動では、歩合給の還元率だけでなく、立地や集客力といった店舗全体の条件もあわせて確認すると良いでしょう。
まとめ
美容師が収入をアップさせるには、歩合制をうまく活用することが効果的です。歩合の割合は指名料や売上の15~30%程度が一般的とされていますが、美容室によって待遇はさまざまです。
安定して収入を得るには固定給と歩合給を組み合わせた「一部歩合制」、実力を反映させたい場合は「完全歩合制」といったように、自分のスタイルに合った働き方を選ぶことが大切です。
そのうえで、技術力や接客力を磨き、情報発信や商品販売などにも取り組むことで指名客を増やし、収入アップにつなげることができます。